CIDR(Classless Inter-Domain Routing)は、インターネット上でIPアドレスをより効率的に割り当てるための方法です。これは従来のクラスベースのIPアドレス割り当て方法(クラスA、B、C)に代わるもので、1993年に導入されました。
CIDRでは、IPアドレスとサブネットマスクが組み合わされ、スラッシュ(/)の後に続くビット数でサブネットマスクの長さを指定することによって、IPアドレスの範囲を示します。たとえば、192.0.2.0/24
というCIDR表記は、192.0.2.0
から始まる256個(2^8
)のIPアドレスを含むサブネットを示し、サブネットマスクは255.255.255.0
と等価です。
CIDRのメリット
- 効率的なIPアドレス利用: CIDRにより、必要に応じて異なるサイズのネットワークを柔軟に割り当てることができます。これによりIPアドレスの無駄が少なくなります。
- ルーティングの単純化: より大きなIPアドレスブロックを小さなサブネットに分割できるため、ルーティングテーブルが簡潔になり、ルーターの処理が軽減されます。
- ルーティングの効率化: CIDRは、階層的なアドレス割り当てを可能にし、インターネットのバックボーン上のルーティングテーブルのエントリ数を減少させます。
CIDRの動作原理
CIDRは、ビット演算を使用して、IPアドレスが所属するネットワークを識別します。ネットワーク部分とホスト部分は、サブネットマスクによって分けられます。サブネットマスクのビットが1
の位置はネットワークアドレスを、0
の位置はホストアドレスを示します。
例えば、CIDR表記192.168.1.0/24
では、上位24ビットがネットワークアドレスを指定し、残りの8ビットがそのネットワーク内のホストを指定するために使用されます。
CIDRの例
192.168.1.0/24
:256個のIPアドレスを持つサブネット(192.168.1.0
〜192.168.1.255
)10.0.0.0/16
:65,536個のIPアドレスを持つサブネット(10.0.0.0
〜10.0.255.255
)172.16.0.0/12
:1,048,576個のIPアドレスを持つサブネット(172.16.0.0
〜172.31.255.255
)
CIDRは、インターネットの成長に伴うIPアドレスの需要増大を管理するための非常に重要なツールであり、IPアドレスの枯渇問題を緩和するのに役立っています。また、インターネットのルーティングアーキテクチャにおいても中心的な役割を果たしています。