OSIモデルのネットワーク層は、7層階層モデルの第3層に位置し、異なるネットワーク間でのデータの転送(ルーティング)とデータの配送(転送)を担当します。この層は、異なる物理ネットワーク間の通信を可能にし、効率的で信頼性の高いデータの経路選定を行うことで、エンドツーエンドのデータ転送を管理します。
ネットワーク層の主な機能:
- 論理アドレッシング: ネットワーク層では、デバイスがネットワーク上で一意に識別されるための論理的なアドレス(例えば、インターネットプロトコル(IP)アドレス)が提供されます。
- ルーティング: データパケットを送信元から宛先までの最適な経路を通じて転送します。ルーターはこの層で動作し、動的または静的なルーティングテーブルを使用してパケットを適切な宛先に転送します。
- パケットの生成: データリンク層からのフレームをパケットに分割する場合があります。これらのパケットは、宛先のアドレス、送信元のアドレス、そして他の制御情報を含んでいます。
- 転送とルーティングプロトコルの実装: 様々なネットワーク層のプロトコル(IP、IPX、AppleTalkなど)がデータの転送方法を定義します。
- フラグメンテーションと再構成: 送信データをネットワーク上で適切なサイズのパケットに分割し、受信側で元のデータ形式に再構成します。
- エラーの処理と診断: ネットワーク層では、パケットの配送中に発生したエラーを処理する機能があります。
重要なプロトコルと規格:
- インターネットプロトコル(IP): 現在最も広く使われているネットワーク層のプロトコルで、IPv4とIPv6の2つのバージョンが存在します。
- インターネットコントロールメッセージプロトコル(ICMP): ネットワーク上のデバイス間でのエラーメッセージと運用情報の伝達に使用されます。
- ルーティングプロトコル: OSPF(Open Shortest Path First)、BGP(Border Gateway Protocol)、EIGRP(Enhanced Interior Gateway Routing Protocol)など、さまざまなルーティングプロトコルがネットワーク層で動作しています。
ネットワーク層は、ネットワークのスケーラビリティと運用性を確保する上で中心的な役割を果たします。また、エンドツーエンドの接続とネットワークの異なる部分間でのデータの転送を可能にすることで、全体的なインターネットアーキテクチャの基盤を提供します。