TLS(Transport Layer Security)は、インターネットでのデータのプライバシーとデータの完全性を保護するための暗号化プロトコルです。
SSL(Secure Sockets Layer)の後継として設計され、ウェブ通信、メールの送受信、VoIP(Voice over Internet Protocol)など、さまざまなアプリケーションでデータを安全に送受信するために使用されています。
TLSの主な目的:
- 暗号化: クライアントとサーバー間の通信を暗号化し、第三者がデータを読むのを防ぎます。
- 認証: サーバー(そしてオプションでクライアント)はデジタル証明書を使用して認証を行うことができ、偽のサイトや中間者攻撃からユーザーを保護します。
- データの完全性: 通信中のデータが改ざんされていないことを確認するための手段を提供します。
TLSのプロセス:
- ハンドシェイク: クライアントとサーバーが通信を開始する際に、TLSハンドシェイクが行われます。このプロセスで、使用するプロトコルのバージョン、選択する暗号化アルゴリズム、セッションキーを生成するための情報交換などが行われます。
- キー交換: ハンドシェイク中に、通信の暗号化に使うセッションキーが安全に交換されます。これには公開キー暗号化が使われることが一般的です。
- データ転送: セッションキーを使って、データの暗号化と復号が行われます。このキーはセッションごとに一意であり、通信が終わると破棄されます。
TLSのバージョン:
- TLS 1.0: SSL 3.0の直接の後継として、1999年に定義されました。
- TLS 1.1: 2006年に公開され、いくつかのセキュリティ上の問題を解決しました。
- TLS 1.2: 2008年に公開され、更なるセキュリティの改善を提供しました。
- TLS 1.3: 最新のバージョンで、2018年に公開され、以前のバージョンに比べて通信速度の向上とセキュリティの強化が図られています。
実用面でのTLS:
- ウェブブラウザは、HTTPS通信にTLSを使用してウェブサイトとの間でセキュリティを確保します。
- メール送受信時の暗号化(SMTPS、POP3S、IMAPS)にもTLSが使用されます。
- クレジットカード情報や個人情報などのセンシティブなデータを含むオンライン取引には、TLSが不可欠です。
TLSは、サーバーとクライアントが安全に通信するための重要な基盤となっており、インターネットの信頼性とセキュリティを保つために広く採用されています。