OSI参照モデルのプレゼンテーション層は、第6層であり、アプリケーション層とセッション層の間に位置します。この層の主要な役割は、アプリケーションが理解できる形式でデータを表示することです。つまり、異なるシステム間でデータを交換する際に、データの形式を適切に変換することで、異なるプラットフォームやアーキテクチャ間でのデータの互換性を保証します。
プレゼンテーション層の主な機能:
- データの形式化: データをアプリケーションが理解できる形式に変換すること。例えば、異なるエンコーディング方式(ASCII、EBCDICなど)を使用するシステム間で文字データを交換する場合に、必要な変換を行います。
- データの圧縮: ネットワークを介してデータを送信する前にデータを圧縮し、帯域幅を節約します。受信側では、圧縮されたデータを展開して元の形式に戻す処理を行います。
- データの暗号化と復号化: データのセキュリティを確保するために、送信前に暗号化し、受信側で復号化します。これにより、機密性とデータの安全性が保たれます。
- データのシリアライズ: 構造化されたデータ(例えば、データベースのレコードやオブジェクトなど)をシリアライズ(またはマーシャリング)して、ネットワークを介して送信可能な形式に変換します。
プレゼンテーション層の例:
- MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions): 電子メールでテキスト以外のデータ(画像、ビデオ、オーディオなど)を扱うための方式です。
- XDR(External Data Representation): 異なるコンピューターアーキテクチャ間でデータを交換するための標準化された方法。
- TLS(Transport Layer Security): 暗号化プロトコルであり、主にアプリケーション層で使用されますが、プレゼンテーション層の機能と密接に関連しています。
プレゼンテーション層はアプリケーションの見ることができるデータの表現を管理するため、その機能はアプリケーションにとって透過的です。実際の実装では、多くのプレゼンテーション層の機能はアプリケーション層のプロトコルに組み込まれています。たとえば、Webアプリケーションは通常、HTTPプロトコルの一部としてHTMLやXMLなどのデータフォーマットを直接扱います。