画像トラブルを防ぐimgタグとalt属性の考え方と実践例

HTMLで画像を表示したいときに使用するタグが「imgタグ」です。imgタグは、文章の中に画像という情報を差し込むための要素であり、Webページを視覚的に分かりやすく、魅力的にするために欠かせない存在です。テキストだけでは伝わりにくい内容を、図解や写真、イラストなどの画像によって補足することで、より多くのユーザーにとって理解しやすいページを作ることができます。

imgタグの基本構造と役割について

imgタグの特徴として、まず「空要素」である点が挙げられます。空要素とは、開始タグと終了タグのペアではなく、開始タグだけで完結する要素のことを指します。例えば段落を表す<p>...</p>のように中身を挟むタグとは異なり、imgタグは画像そのものを指し示すだけなので、<img ...>のように1つのタグで記述します。HTML5では終了スラッシュ(/>)は必須ではありませんが、どちらの書き方でも基本的な動作は同じです。

imgタグの基本構造を確認してみましょう。

<img src="images/sample.png" alt="サンプル画像の説明文">

この例では、imgタグに2つの属性が指定されています。1つ目のsrc属性は「source(ソース)」の略で、「どの画像ファイルを読み込むか」を指定するための属性です。画像ファイルの場所(パス)やファイル名を文字列として記述します。2つ目のalt属性は「alternative text(代替テキスト)」の略で、画像が何を表しているのかを文字で説明するための属性です。alt属性については後の見出しで詳しく扱うため、ここでは「画像の意味を説明するためのテキスト」と理解しておいてください。

imgタグの役割は、大きく分けて次のようなものがあります。

  • ページの内容を視覚的に補足する
  • 情報を直感的に伝えるための図やアイコンを表示する
  • 商品写真や作例など、テキストだけでは伝わらない要素を見せる
  • ロゴやバナーなど、サイト全体のブランドイメージを表現する

このように、imgタグは単なる飾りではなく、ページの内容を構成する重要な要素のひとつです。

imgタグを使う際に必ず意識してほしいのが、「どの画像を使うか」と「どのように読み込ませるか」という点です。src属性に書くパスは、画像ファイルが保存されている場所によって書き方が変わります。HTMLファイルと同じフォルダ内にある場合は、単に"sample.png"と書くだけでよいですし、別のフォルダにある場合は"images/sample.png"のようにフォルダ名を含めて記述します。インターネット上の画像を直接指定する場合は、"https://..."から始まるURLを書くこともできますが、学習段階ではまず自分のプロジェクト内の画像ファイルを指定する練習をすると理解しやすくなります。

imgタグはインライン要素と呼ばれる種類の要素で、テキストと同じ行の中に配置される性質を持っています。インライン要素とは、「行内に並んで配置されるタイプの要素」のことで、<a>タグ(リンク)や<span>タグなども同じ仲間です。そのため、imgタグは文章中に自然に画像を差し込むことができます。たとえば、文字列と画像を横に並べたいときには、特別なレイアウト指定をしなくても、imgタグをテキストの間に書くだけで行の中に表示されます。

画像のサイズを調整したい場合には、width属性やheight属性を使うこともできます。

<img src="images/logo.png" alt="サイトのロゴ" width="200" height="80">

ここで指定している数値はピクセル数を表し、ブラウザが画像を表示する際の見た目の大きさに影響します。厳密には、デザインの調整はCSS(スタイルを指定する仕組み)で行うのが望ましいのですが、imgタグの学習段階では「サイズを指定できる」という感覚をつかむために使ってみるのも良い経験になります。

imgタグは、ページの読み込み速度やユーザー体験にも影響します。大きすぎる画像ファイルをそのまま読み込むと、ページの表示に時間がかかり、ユーザーがストレスを感じてしまうことがあります。そのため、適切なサイズ・形式の画像を使うことが重要です。この点はHTMLだけの話ではなく、Web制作全体のパフォーマンス設計にも関係してきます。

また、imgタグは検索エンジンやスクリーンリーダーなど「人間以外の閲覧者」にとっても重要です。検索エンジンはsrcに指定されたファイル名や、その周辺のテキスト、そしてalt属性の内容を手がかりに、画像が何を表しているのかを推測します。視覚に障がいのあるユーザーが利用するスクリーンリーダーでは、画像そのものは見えませんが、alt属性に書かれたテキストを読み上げることで、画像の内容を伝えることができます。つまり、imgタグとalt属性はセットで考えることが、現代的なWeb制作ではとても大切です。

このように、imgタグの基本構造はシンプルですが、その役割は見た目の装飾にとどまらず、情報伝達・アクセシビリティ・SEO(検索エンジン最適化)など多くの側面に関わっています。まずは「imgタグは画像を表示するためのタグ」「srcで画像の場所を指定し、altで意味を説明する」という基本をしっかり押さえておくことが重要になります。

alt属性が果たす重要な意味と必要性

alt属性は、imgタグに必ずセットで付けてほしい、とても重要な属性です。名前は「alternative text(オルタナティブテキスト)」の略で、日本語では「代替テキスト」と呼ばれます。代替テキストとは、画像が表示できない状況や、画像そのものを見ることができないユーザーに対して、その画像が何であるか、どのような意味を持つのかを文字で伝えるための説明文のことです。imgタグは見た目には「画像」を扱う要素ですが、alt属性を適切に書いておくことで、その画像が持つ情報を「テキスト」という形でも提供できるようになります。

alt属性が重要とされる理由は、大きく分けて次のようなポイントがあります。

  1. 画像が読み込めないときの代替表示になる
  2. スクリーンリーダーが画像の内容を読み上げる際の情報源になる
  3. 検索エンジンが画像の内容を理解するための手がかりになる
  4. ユーザーにとってページの意味が途切れないようにする役割を持つ

まず、1つ目の「画像が読み込めないとき」という場面を考えてみます。通信環境が悪かったり、画像ファイルが削除されていたり、ユーザーのブラウザ設定で画像の表示がオフになっていたりする場合、画像は画面に表示されません。そのときにalt属性が設定されていれば、画像の代わりにそのテキストが表示され、ユーザーは「本来ここにはどのような情報があったのか」をある程度推測することができます。例えば、商品画像であれば「○○ブランドの黒いスニーカー」のような説明が表示されることで、画像がなくても内容が伝わりやすくなります。

次に、スクリーンリーダーの存在です。スクリーンリーダーとは、視覚に障がいのある方や、画面を読むことが難しいユーザー向けの支援技術で、画面上のテキストを音声で読み上げてくれるソフトウェアのことです。画像そのものは読み上げられませんが、alt属性にテキストが設定されていれば、その内容を読み上げることで「ここにはこういう画像が表示されている」という情報をユーザーに伝えることができます。もしalt属性が空のままだと、スクリーンリーダーは「画像」としか認識できず、その画像の意味はユーザーに伝わりません。これが、アクセシビリティ(誰にとっても利用しやすい状態)という観点から見たときに、alt属性が非常に重要だと言われる大きな理由のひとつです。

さらに、検索エンジンの視点からもalt属性は重視されています。検索エンジンはページのHTMLを解析して内容を理解しますが、画像ファイル自体の中身を完全に理解できるわけではありません。そのため、ファイル名や周囲のテキスト、そしてalt属性の内容などを総合して、「この画像は何についてのものか」を推測します。alt属性に適切な説明が書かれていれば、その画像に関する検索結果にも表示されやすくなり、ページ全体の評価にも良い影響を与えやすくなります。

ここで注意したいのは、「すべての画像に長い説明文を書けばよい」というわけではない、という点です。alt属性に書くべき内容は、その画像がページ内で果たしている役割によって変わります。例えば、装飾目的だけの画像(ただの背景的な飾りや、意味を持たない模様など)の場合は、alt=""のように空文字を指定しておくこともあります。空のaltを指定することで、「この画像は意味を持たない装飾なので、スクリーンリーダーは読み上げなくてよい」という意図を機械に伝えることができます。一方で、本文の内容を理解するうえで重要な画像や、ボタンやリンクとして機能している画像には、必ず意味のあるaltテキストを用意する必要があります。

alt属性の文字数について厳密な制限はありませんが、伝えるべき情報を過不足なくまとめる意識が大切です。短すぎると内容が伝わらず、長すぎると読み上げたときにユーザーが疲れてしまう可能性があります。「この画像を見ていない人に口頭で説明するとしたら、どう言うか?」という視点で考えると、ちょうどよい表現を見つけやすくなります。

学習の段階では、ついalt属性を省略してしまいがちですが、正しいHTMLを書くうえでは、imgタグにalt属性を付けることは「基本マナー」のようなものです。多くのコードチェックツールやエディタも、altがないimgタグに対して警告を出します。それだけ、現代のWeb制作ではalt属性が「あるのが当然」とみなされているということです。

このように、alt属性は単に「画像の説明文」というだけでなく、ユーザーの状況に応じて情報を補うための重要な仕組みです。画像を表示するときには、「見えている人」「見えていない人」「検索エンジン」など、さまざまな立場からページを利用する可能性を意識し、その橋渡しをしてくれるのがalt属性であると理解しておくと、自然と適切な書き方を選べるようになります。

アクセシビリティの観点から見たalt属性の具体的な書き方

アクセシビリティとは、できるだけ多くの人が不自由なくWebページを利用できるようにする考え方や取り組みのことを指します。視覚に障がいのある方、色の見え方が異なる方、一時的に画面が見づらい環境にいる方など、さまざまなユーザーがいます。alt属性は、その中でも特に「画像を見ることが難しいユーザー」に対して情報を届けるための重要な手段です。ここでは、アクセシビリティの観点から、どのようにalt属性を書けばよいのかを具体的な例とともに解説します。

画像の「役割」を意識したaltテキストの書き方

アクセシビリティを考えたalt属性を書くときに、最初に意識したいのは「この画像はページの中でどんな役割を持っているか」という点です。同じ写真でも、場面によって説明の仕方が変わります。代表的なパターンとして、次のような分類をすると考えやすくなります。

  • 内容を理解するために必要な「内容画像」
  • ボタンやリンクなど、操作のための「機能画像」
  • 単なる飾りとしての「装飾画像」

内容画像とは、記事の本文や説明の一部として重要な意味を持つ画像です。例えば、「教室の雰囲気を紹介する写真」「商品の特徴を示す図」「手順を説明するスクリーンショット」などが当てはまります。この場合、alt属性には「その画像を見て分かること」を簡潔に書きます。

<img src="classroom.jpg" alt="パソコンが並んだ教室で、受講生が講師の説明を聞いている様子">

この例では、「教室」「パソコン」「受講生」「講師」といった要素が画像のポイントなので、それらを含めて状況が伝わるように説明しています。

機能画像とは、アイコンやボタンなど、「押す」「クリックする」といった操作の対象になっている画像です。この場合、alt属性に書くべきなのは「画像の見た目」ではなく「その画像をクリックすると何が起こるか」です。

<a href="/contact">
  <img src="contact-button.png" alt="お問い合わせフォームへ移動するボタン">
</a>

ここで「封筒のアイコン」などと見た目だけを書いてしまうと、スクリーンリーダー利用者には具体的な機能が伝わりません。「何のためのボタンか」を説明することがアクセシビリティの観点では重要です。

装飾画像とは、ページを華やかに見せるためだけに置かれている画像で、内容理解には直接関係しないものです。このような画像は、スクリーンリーダーで読み上げる必要がないため、alt=""(空の文字列)を指定します。

<img src="decoration-line.png" alt="">

altを完全に省略するのではなく、空の文字列を明示することで、「この画像は意味を持たないので読み上げなくてよい」という意図を伝えられます。

良い例・悪い例で見るaltテキストの違い

アクセシビリティを意識したalt属性を書くときには、「短すぎて意味が分からない」「長すぎて情報過多になる」といった極端な表現を避けることも大切です。いくつか具体例を見てみます。

例:記事の中で、Webサイトのトップページを説明するスクリーンショットを掲載している場合

悪い例

<img src="top.png" alt="画像">

「画像」という言葉だけでは何の情報も伝わりません。スクリーンリーダーは「画像」としか読み上げられず、ユーザーはその画像の意味を理解できません。

あまり良くない例

<img src="top.png" alt="Webサイトのトップページのスクリーンショット">

内容の方向性としては間違っていませんが、「スクリーンショットである」ことよりも、「そのページが何を表しているか」の方が重要な場合が多いです。

より良い例

<img src="top.png" alt="プログラミングスクールのトップページ。ナビゲーションバーと無料体験レッスンへのボタンが表示されている">

この例では、その画像を見て分かる情報を簡潔に言葉で説明しています。ユーザーは、「このサイトにはナビゲーションバーがあり、無料体験レッスンのボタンがあるのだな」とイメージできます。

不要な情報を避けるという観点

アクセシビリティの観点では、「説明しすぎないこと」も重要です。altテキストは、スクリーンリーダーによって読み上げられるため、過度に長くするとユーザーの負担になります。また、「画像」や「写真」といった言葉を毎回先頭に付けるのも必須ではありません。多くのスクリーンリーダーは、すでに「画像」として認識してから読み上げるためです。

例えば、次のような書き方は冗長になりがちです。

<img src="teacher.jpg" alt="講師の写真。講師が笑顔で写っている写真です。">

ここでは「写真」という言葉が二重に出てきており、読み上げとしては回りくどくなります。次のように整理した方が聞きやすくなります。

<img src="teacher.jpg" alt="笑顔で立っているプログラミングスクールの講師">

大切なのは、「その画像を見て何が分かればよいのか」という本質的な部分を簡潔に言語化することです。

文脈と組み合わせて考える

alt属性は単体で存在するわけではなく、常にページの文脈(前後の文章や見出し)と一緒に使われます。そのため、同じ画像であっても、前後の説明で既に触れている内容を繰り返す必要はありません。

例えば、段落の中に「下の図は、レッスンの流れを図示したものです。」と書かれている場合、その直後の画像のaltで同じ文をもう一度書く必要はありません。それよりも、「どのような流れなのか」を補足する形で書くほうが有益です。

<p>下の図は、レッスンの流れを図示したものです。</p>
<img src="flow.png" alt="体験申し込み、カウンセリング、本受講開始の3つのステップで構成されたレッスンフロー図">

このように、文脈全体を踏まえて「テキストと画像を合わせると十分な情報になるか」を意識することで、アクセシビリティに配慮したaltテキストを書きやすくなります。

画像が読み込めない場合の表示とalt属性の関係

imgタグで指定した画像が、何らかの理由で読み込めない場合、ブラウザはそのまま「空白」にしてしまうのではなく、いくつかの工夫をしてユーザーに状況を伝えようとします。このときに重要な役割を果たすのがalt属性です。alt属性は通常、スクリーンリーダー向けの説明や、意味の補足として語られることが多いですが、「画像が表示できなかったときの代替表示」としても非常に大切な存在です。

そもそも、画像が読み込めない状況は意外と多くあります。たとえば次のようなケースです。

  • ファイル名を間違えて指定している
  • 画像ファイル自体がサーバー上から削除されている
  • ユーザーの通信環境が不安定で、画像まで読み込む前にタイムアウトしてしまう
  • ユーザーのブラウザ設定で画像の自動表示がオフになっている
  • セキュリティやプライバシーの観点で、外部サーバーの画像をブロックしている

こういった状況では、ブラウザは画像の代わりに「壊れた画像アイコン」のような表示を出したり、領域だけ確保して何も表示しなかったりします。このときalt属性が設定されていれば、多くのブラウザはそのテキストを画像の代わりに表示します。つまり、ユーザーにとっては「何もない空白」と「テキストによる説明」があるかどうかの違いが生まれることになります。

例えば、商品の写真を表示するimgタグが次のように書かれていたとします。

<img src="images/shoes-black.png" alt="黒いスニーカーの商品写真">

もしサーバー側の事情などでshoes-black.pngが読み込めなかった場合、alt属性が空であればユーザーは「ここに何かあったはずだが分からない」という状態になってしまいます。しかし、上記のようにalt属性に説明が書かれていれば、画像がなくても「黒いスニーカーの商品写真が本来表示される場所なのだな」と理解できます。特に、ECサイトのように画像が重要な意味を持つ場面では、altによる補完があるかどうかで情報量が大きく変わります。

また、画像が読み込めないときの画面は、単に見た目の問題だけでなく、ユーザーの信頼感にも影響します。画像の代わりにaltテキストが表示されていれば、「技術的な問題で画像は見えないけれど、必要な情報はテキストで教えてくれている」と感じてもらいやすくなります。逆に、何も表示されなければ、「このサイトは壊れているのではないか」「きちんと管理されていないのではないか」という不安を与えかねません。

さらに、テキストブラウザや視覚表示を持たない環境(特殊な端末や、テキストベースの閲覧ツールなど)では、そもそも画像という概念がありません。そのような環境では、alt属性に書かれた内容が、そのまま画像の代わりに表示される主役となります。これは、画像が読み込めないどころか、最初から「画像を表示する機能がない」状況です。alt属性を適切に設定しておくことで、こういった環境のユーザーにも情報を届けることができます。

一方で、装飾目的だけの画像が読み込めない場合についても考えてみましょう。ページの背景や、区切り線のような装飾画像が表示されないからといって、多くの場合コンテンツの意味自体は変わりません。このような画像には、先ほど触れたようにalt=""(空文字)を指定します。そうすることで、画像が読み込めなかったとしても、その場所に何か説明テキストが表示されることはなく、ページの読み上げや視覚的な流れが不自然になることを避けられます。

ここで重要なのは、「画像が読み込めない状態でも、ページ全体として意味が通じるかどうか」を常に意識することです。ブラウザの開発者ツールや設定を使って一時的に画像をオフにしてみると、自分が作ったページがどのように見えるかを確認できます。その状態で読み進めたときに、「ここは何の画像だったのか分からない」「説明が足りない」と感じる場所があれば、alt属性で補足するべき箇所のヒントになります。

また、メールマガジンやHTMLメールでも同様の問題が起こりやすいです。多くのメールクライアントでは、セキュリティの理由から初期設定で外部画像の自動読み込みをオフにしていることがあります。この場合、画像部分は最初は非表示になり、ユーザーが「画像を表示する」という操作をしない限り、画像は読み込まれません。ここでもalt属性に説明があれば、画像が非表示のままでもある程度内容を伝えることができます。

alt属性は視覚的なデザインの一部ではなく、「画像が存在しない世界でも成立する文章」を作るための補助ツールだと考えると理解しやすくなります。画像が問題なく表示されているときには目立たない存在ですが、「もし画像がなくなったら?」という想像をすることで、その重要性がはっきりと見えてきます。Web制作では、常に「最悪のケース」を想定して設計することが多く、その一環としてalt属性の適切な設定が求められると言えます。

SEOとユーザー体験を高めるためのalt属性活用方法

alt属性はアクセシビリティの文脈で語られることが多いですが、実はSEO(検索エンジン最適化)や、サイトを利用するユーザーの体験向上にも深く関わっています。ここでは、「検索エンジンにとっての意味」と「人間のユーザーにとっての使いやすさ」の両方の観点から、alt属性をどのように活用すればよいかを具体的に解説します。

検索エンジンから見たalt属性の役割

検索エンジンは、HTMLの構造やテキストを読み取りながらページの内容を理解しますが、画像そのものを人間のように「見て」理解しているわけではありません。そこで重要なヒントになるのがalt属性です。altに記述されたテキストは、「この画像は何を表しているか」を検索エンジンに伝えるための手がかりとして利用されます。

例えば、プログラミングスクールのトップページに掲載している教室写真があるとします。

<img src="classroom.jpg" alt="ノートパソコンを使って学習しているプログラミングスクールの受講生">

このように書くことで、検索エンジンは「この画像はプログラミングスクールの学習風景に関連している」と推測しやすくなります。もしaltが空欄だった場合、検索エンジンはファイル名や周辺テキストから推測するしかなく、画像が持つ情報を十分に評価できません。

キーワードの詰め込みではなく、自然な説明を意識する

SEOを意識すると、「キーワードをたくさん入れたほうが良いのでは」と考えがちですが、alt属性に不自然なほど同じキーワードを並べるのは好ましくありません。検索エンジンは近年、とても賢くなっており、いわゆる「キーワードの詰め込み」は逆に評価を下げる要因になることがあります。

悪い例として、次のような書き方があります。

<img src="lesson.jpg" alt="プログラミングスクール レッスン プログラミング学習 プログラミングスクール レッスン風景">

これは人間が読んでも意味がつかみにくく、機械にとっても不自然な文章です。SEOの観点からも、ユーザー体験の観点からも好ましくありません。代わりに、次のように自然な文として説明する方が望ましいです。

<img src="lesson.jpg" alt="講師と受講生が一緒にコードを書きながら学んでいるレッスン風景">

関連するキーワード(この例では「講師」「受講生」「コード」「レッスン」など)が自然な形で含まれていれば十分です。あくまで「人間にとって分かりやすい説明」が基本であり、その結果として検索エンジンにとっても理解しやすくなるという順番を意識するとバランスが取りやすくなります。

ユーザー体験(UX)を高めるaltテキストの工夫

ユーザー体験という観点では、「画像が見えない・読み込めない状況でもストレスなく内容を理解できるか」がポイントになります。先ほど触れたように、通信状況や端末設定により、画像が表示されないことは珍しくありません。その場合にalt属性が適切に書かれていると、ユーザーは「ここに何の画像があったのか」をイメージしやすくなります。

例えば、ボタンとして機能する画像では、見た目よりも「何ができるボタンなのか」を重視した説明がユーザー体験の向上に役立ちます。

<a href="/trial">
  <img src="trial-button.png" alt="無料体験レッスンに申し込む">
</a>

このようにしておけば、画像が表示されなくてもリンクテキストとして「無料体験レッスンに申し込む」と表示されるケースもあり、ユーザーは迷わず操作を続けることができます。

また、スマートフォンなどの小さな画面では、通信量節約のためにユーザーが画像表示をオフにしている場合もあります。そのような状況で、テキストだけでもページの内容が理解できるようにしておくことは、結果として「離脱率を下げる」「滞在時間を延ばす」といった、ユーザー体験・SEO双方の指標にもよい影響を与えます。

一覧ページやサムネイル画像でのaltの考え方

一覧ページやギャラリーなど、同じような画像が連続する場面では、alt属性の書き方にも工夫が必要です。たとえば、ブログ記事一覧で各記事のサムネイル画像を表示している場合、すべての画像に「サムネイル」「アイキャッチ画像」とだけ書いてしまうと、スクリーンリーダー利用者にとっては内容の違いが分かりません。

それぞれの記事のタイトルや内容に合わせて、サムネイルが何を表しているかをaltに反映させると、ユーザーにとって選びやすい一覧になります。

<a href="/article/html-basic">
  <img src="thumb-html.png" alt="HTMLの基本を学ぶ記事のサムネイル">
</a>
<a href="/article/css-layout">
  <img src="thumb-css.png" alt="CSSレイアウトを解説する記事のサムネイル">
</a>

このように書くと、視覚的なサムネイルに頼らなくても、「これはどの記事へのリンクなのか」を判断しやすくなります。結果として、一覧ページ全体の使いやすさが向上します。

サイト全体の品質としてのalt属性

alt属性は1つ1つは小さな要素ですが、サイト全体で見たときには「細部まで丁寧に作られているか」を示す指標のひとつにもなります。コードチェックツールやSEO分析ツールでも、alt属性の有無や内容はよく確認されます。抜け漏れが多いと「細かいところまで配慮されていないサイト」と判断される可能性もあります。

サイト制作のワークフローとしては、次のような流れを意識すると品質を保ちやすくなります。

  • デザイン段階で、どの画像が「情報」として重要か整理する
  • 実装時に、重要な画像には必ず意味のあるaltを付ける
  • 装飾画像にはalt=""を付けて読み上げ対象から外す
  • テスト時に「画像をオフにした状態」「スクリーンリーダー環境」を想定して確認する

このような習慣を持つことで、SEOの観点からも、ユーザー体験の観点からも、バランスの取れたalt属性の活用ができるようになります。

間違えやすいimgタグとalt属性の落とし穴

imgタグとalt属性は文法としてはシンプルですが、実際の制作現場や学習の途中で、初心者の方がつまずきやすいポイントがいくつかあります。ここでは、よくある「落とし穴」とその背景になる考え方を整理しておきます。

まず一番多いのが、「alt属性を書き忘れる」というケースです。HTML的にはalt属性がなくても画像は表示されてしまうため、「動いているから大丈夫」と思ってしまいがちです。しかし、altがないと、スクリーンリーダー利用者には画像の意味が伝わらず、検索エンジンにとっても画像の内容が分かりにくくなります。特に、ボタンや重要な説明図にaltが設定されていないと、操作や内容理解に直接支障が出るため注意が必要です。

次に多いのが、「altにファイル名や適当な文字列だけを書く」というパターンです。例えば、次のような書き方です。

<img src="img001.png" alt="img001">

これでは、画像が何を表しているのかまったく伝わりません。同様に、単に「画像」「写真」「イラスト」といった単語だけを書いてしまうのも、説明としては不十分です。altには「この画像を見て分かるべき情報」を短くまとめて書くことが大切です。

逆に、「頑張って説明しようとして長文になりすぎる」という落とし穴もあります。あれもこれも伝えようとして、1文がとても長くなってしまうと、スクリーンリーダーで聞いたときに理解しづらくなります。また、たくさんのimgタグが並んでいるページでは、長いaltテキストが続くことで疲れてしまうこともあります。「この画像から最低限伝えたいポイントは何か」を意識して、情報を絞り込む意識も重要です。

装飾画像の扱いも、よく勘違いが起こるポイントです。ページの雰囲気を整えるための線や模様、背景的なイラストなどは、内容理解には直接関係しないことが多いです。このような画像に意味のあるaltテキストを付けてしまうと、スクリーンリーダーがいちいち読み上げてしまい、かえってユーザーの邪魔になります。本来読む必要がない情報が混ざることで、本当に重要な情報が埋もれてしまう可能性があります。こういった装飾画像にはalt=""(空文字)を指定し、「読み上げなくてよい画像」であることを明確にするのが適切です。

imgタグの書き方そのものに関する落とし穴としては、srcのパス指定ミスもよくあります。ファイル名のスペルが違っていたり、フォルダ構成を変えたのにパスを修正し忘れたりすると、画像が表示されず「壊れた画像」になってしまいます。このとき、altが適切に書かれていれば意味はある程度伝わりますが、altもいい加減だと「何が表示されるはずだったのか」すら分からなくなります。画像が表示されないトラブルはどれだけ気をつけても完全には避けられないため、「問題が起きたときに情報がゼロにならないようにしておく」という考え方が大切です。

もう一つのよくある間違いは、「テキストを画像として埋め込んでしまい、altも不適切」というパターンです。例えば、ボタンのラベルや見出しの文字をすべて画像にしてしまうと、その文字情報は画像の中に閉じ込められてしまいます。altで補うことはできますが、画像が多いと管理も大変になり、翻訳やデザイン変更にも弱くなります。基本的には、意味のある文字情報は可能な限りHTMLのテキストとして記述し、画像は補助的に使うのが望ましい設計です。

SEOを意識しすぎた結果としての落とし穴もあります。altに不自然なほどキーワードを詰め込んでしまうと、人間にとっても機械にとっても読みづらいテキストになります。例えば、「プログラミングスクール」という単語を連続して並べるような書き方は避けるべきです。検索エンジンは「自然な文章かどうか」も評価の対象にしていると考えられており、キーワードの詰め込みはかえって逆効果になる可能性があります。

また、「すべての画像に必ず意味のあるaltを付けなければならない」と誤解してしまうのも落とし穴です。先ほどの装飾画像のように、「あえて空のaltを指定する」のが正解となるケースもあります。重要なのは、「この画像はユーザーにどんな情報を届けるためのものか」「この画像がなくても内容は理解できるか」という問いを一度立ち止まって考えることです。役割に応じてaltの書き方を変える、という発想が身につくと、迷う場面が減っていきます。

imgタグの周辺では、title属性との混同もよく見られます。title属性は、マウスカーソルを重ねたときなどにツールチップとして表示される補足情報であり、altとは役割が異なります。titleだけを書いてaltを書かない、というのはアクセシビリティの観点から望ましくありません。スクリーンリーダーは主にaltの内容を重視するため、あくまで「画像の意味を伝えるのはaltが基本」と覚えておくと整理しやすくなります。

最後に、学習の段階でありがちな落とし穴として、「サンプルコードをコピペするだけで、自分の言葉でaltを書かない」という点も挙げられます。教材によくある「sample image」「example」といったaltをそのまま使い続けてしまうと、実際の制作の場面で適切なテキストを考える力が育ちにくくなります。短い文章でかまわないので、「自分ならこの画像をどう説明するか」を毎回考える習慣をつけることが、落とし穴を避ける一番の近道になります。

Web制作におけるimgタグとalt属性を学ぶ意義

Web制作を学ぶうえで、imgタグとalt属性は「単に画像を表示するための記号」以上の意味を持っています。これらをしっかり理解することは、見た目の制作スキルだけでなく、ユーザーへの配慮や、情報設計、チーム開発など、より広い視点を身につけることにつながります。プログラミングスクールで基礎として扱われるのにも、そうした背景があります。

まず大きな意義として、「情報を構造的に捉える力」が身につく点が挙げられます。imgタグは画像そのものを表しますが、alt属性は「その画像がどんな意味を持っているか」をテキストで表現します。つまり、画像という視覚情報を、一度言葉に変換して整理する作業が必要になります。これは、単にタグの書き方を覚えるだけでなく、「この画像は何を伝えたいのか」「どんな役割を持っているのか」を考える訓練にもなります。この「意味を言葉にする力」は、後々データ構造やAPI設計などを学ぶときにも役立つ、重要な基礎力です。

次に、「誰にとっても使いやすいサイトを作る意識」を育むという意味があります。alt属性を通じてアクセシビリティを学ぶことで、自分が見えている画面だけがすべてではない、という感覚を持てるようになります。視覚に障がいのある方、画面をじっくり見られない状況のユーザー、画像をオフにしているユーザー、さまざまな環境でページが利用されることを想像することは、エンジニアとしての視野を広げてくれます。「自分には見えているが、他の人には見えないものがあるかもしれない」という前提を持てることは、バグの予防やユーザーテストの重要性を理解するうえでも大切です。

また、imgタグとalt属性をきちんと扱えることは、検索エンジンや機械にとって「意味のあるHTML」を書けているかどうかの指標にもなります。テキストだけでなく画像も含めて「何がどのように配置されているか」を検索エンジンが理解できるように書くことは、セマンティックなHTML(意味を意識したHTML)の考え方に直結します。セマンティックなHTMLは、後からCSSやJavaScriptで装飾や動きを加えていくときにも役立ちます。土台がきちんとしていれば、見た目を変えても意味が崩れにくく、長期的に保守しやすいコードになります。

チーム開発の現場を想像すると、imgタグとalt属性の重要性はさらに分かりやすくなります。デザイナーが制作したデザインカンプ(完成イメージ)をもとに、エンジニアが実装を行う際、「この画像はどんな意図で配置されているのか」「装飾なのか、内容なのか」といった判断をする必要があります。その判断がalt属性の内容にも反映されるため、ここを丁寧に作れる人は、デザイナーや他のエンジニアからも信頼されやすくなります。テキストを適当に埋めず、意図をくみ取ってaltを設計できることは、コミュニケーション能力の一部でもあります。

さらに、imgタグとalt属性の理解は、「フロントエンドの裏側」を知る入り口にもなります。例えば、画面リーダーがどのようにHTMLを解釈しているか、検索エンジンがどのように情報を収集しているか、といった仕組みを調べるきっかけになるからです。こうした仕組みを知ると、「ブラウザはHTMLをこう解釈しているのか」「だからここにテキストが必要なのか」といった気づきが生まれ、単なる“見た目のコーディング”から一歩踏み込んだ理解に進むことができます。

学習者の立場から見ると、imgタグとalt属性は「小さな成功体験」を積み重ねやすい題材でもあります。最初は画像を表示するだけでも嬉しく感じると思いますが、そこにalt属性を加えることで、「見えない人にも情報を届けられている」という実感を得ることができます。コードの1行1行に意味があり、その積み重ねが「誰かにとって役に立つページ」になる、という感覚を持てるようになると、プログラミング学習そのものがより楽しく、やりがいのあるものに変わっていきます。

また、将来的にJavaScriptやフレームワーク(Reactなど)を学ぶ際にも、imgaltの考え方はそのまま活用されます。どれだけ高度なライブラリやフレームワークを使っても、最終的にブラウザに渡されるのはHTMLです。つまり、どんなに技術が進歩しても、「画像には意味のあるaltを付ける」という基本は変わりません。基礎レベルでこれをしっかり押さえておくことは、今後どんな技術を学ぶにしても、ずっと役立ち続ける投資になります。

最後に、imgタグとalt属性を学ぶことは、「ユーザー視点に立ったものづくり」を身につける最初の一歩とも言えます。コードを書くとき、「見えるかどうか」だけでなく「伝わっているかどうか」「届いているかどうか」を意識できるエンジニアは、どんな現場でも頼りにされます。その感覚を育てるための具体的な練習題材として、imgタグとalt属性はとても適したテーマなのです。

まとめ

本記事では、imgタグとalt属性の基礎から応用、そして実務での活用までを段階的に解説しました。imgタグは単に画像を表示するだけの要素ではなく、ページの情報構造に深く関わる重要な役割を担っています。src属性による画像の指定方法や、画像サイズとレイアウトの関係など、見た目を制御するための基本的な仕組みがここに含まれています。

さらに重要なのが、alt属性の存在です。alt属性は「代替テキスト」として、画像を見ることができないユーザーや、画像が読み込めない環境に対しても情報を届けるための支えとなります。アクセシビリティの観点では、内容画像・機能画像・装飾画像といった分類を踏まえて適切なaltを付けることで、画面を見られないユーザーにも等しく情報が届くようになります。SEOの観点でも、検索エンジンが画像の内容を理解するための重要な手がかりとしてaltが利用されます。無理にキーワードを詰め込むのではなく、自然で分かりやすい言葉で説明することが、検索エンジン・人間の双方にとって良い結果につながります。

また、imgタグとalt属性には初心者が陥りやすい落とし穴があり、適切な書き方を知ることはトラブルを防ぐだけでなく、コードの品質向上にもつながります。ファイルパスの間違い、altの書き忘れ、意味のない装飾画像に説明を付けてしまうケースなど、典型的なつまずきポイントを理解しておくことで、より正確で読み手に優しいHTMLを書けるようになります。

Web制作における意義としては、これらを通じて「情報を意味として整理する力」や「ユーザー視点で考える姿勢」を身につけられる点が挙げられます。たとえ小さな1行でも、それが誰かにとって必要な情報へとつながり、ページ全体の体験を左右します。imgタグとalt属性は、そうしたWeb制作の本質に触れるための入り口であり、これらを正しく理解することは、今後の学習や実務において必ず大きな価値を生み出します。

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