クラスタリングとは、複数のコンピューター、サーバー、またはノードを集めて、単一のシステムのように機能させるプロセスです。クラスタリングにより、リソース(CPU、メモリ、ストレージ等)を共有し、負荷分散、高可用性、冗長性などの目的で利用されます。
クラスタリングの主な用途
- 高可用性 (High Availability, HA): クラスタ内の一つのノードが故障した場合、他のノードが自動的にサービスを引き継ぎ、システムのダウンタイムを最小限に抑えます。
- 負荷分散 (Load Balancing): クラスタは入ってくるリクエストや作業をノード間で分散し、単一のノードに過剰な負荷がかかるのを防ぎます。
- 並列処理 (Parallel Processing): 計算処理やデータ分析のタスクを複数のノードで同時に実行することで、処理速度を向上させます。
- スケーラビリティ (Scalability): 必要に応じてノードを追加することで、クラスタの処理能力や容量を拡張できます。
クラスタリングの種類
- アクティブ/アクティブ: すべてのノードが同時に稼働し、負荷を分散しながら処理を行います。
- アクティブ/パッシブ: 一つのノードがアクティブに処理を行い、他のノードはスタンバイ状態にあり、アクティブノードがダウンした場合に引き継ぎます。
- N+1またはN+M冗長性: N個のアクティブノードに対して、1個以上のスタンバイノードが用意されています。
クラスタリングのテクノロジー
- クラスタリングソフトウェア: クラスタの管理とノード間の通信を行う専用のソフトウェアが必要です。
- 共有ストレージ: 多くのクラスタリング環境では、共有ストレージシステム(SANやNASなど)が使用されます。
- ネットワーク設定: クラスタリングでは高速なネットワーク接続が重要です。特に、ノード間での低遅延通信が求められます。
クラスタリングの課題
- 複雑性: クラスタリングシステムの設計と管理は複雑であり、専門的な知識が必要です。
- コスト: 高可用性や高性能なクラスタリング環境を構築するには、ハードウェアやソフトウェアに対する投資が必要です。
- 同期: クラスタ内のノード間でデータの整合性を保つための同期が必要です。
クラスタリングは、エンタープライズレベルのシステムやデータセンター、クラウドコンピューティング環境などで広く採用されており、サービスの信頼性と効率を高めるための重要な技術です。