ステートフル(stateful)プロトコルは、一連の通信(セッション)の間にクライアントとサーバーの状態を保持するプロトコルです。これは、サーバーが以前のリクエストと後続のリクエストを関連付けることができることを意味し、各リクエストにはセッションのコンテキスト情報が含まれている必要があります。これにより、ユーザーが行ったアクションの履歴をサーバーが追跡し、よりパーソナライズされたインタラクションを提供することが可能になります。
ステートフルプロトコルの特徴は以下の通りです:
- セッション管理: クライアントとサーバー間の継続的な対話を管理し、各リクエストを適切なセッションに関連付けます。
- コンテキストの維持: セッション中の前の操作の情報が後続のリクエストで利用できるため、ユーザーが行った一連の操作を理解しやすくなります。
- リソースの確保: セッションが続いている間、サーバーは特定のリソース(メモリ、データベース接続など)を確保し続ける必要があります。
- 複雑さ: ステートフルプロトコルは、状態を管理するための追加のロジックが必要であり、システムの複雑さが増加します。
- スケーラビリティ: 状態情報を保持する必要があるため、スケーラビリティに制限がある場合があります。特に、多数の同時セッションをサポートする必要がある場合に問題となることがあります。
ステートフルプロトコルの例としては、以下が挙げられます:
- TCP(Transmission Control Protocol): ネットワーク通信で使用されるステートフルなプロトコルで、接続の確立、データの順序付け、配信の保証などを行います。
- FTP(File Transfer Protocol): ファイル転送時にセッション状態を保持し、ユーザーのログイン状態や現在のディレクトリなどの情報を保持します。
ステートフルなプロトコルは、特定の状態を維持する必要があるアプリケーションや、長期にわたる複雑なトランザクションを管理する場合に適していますが、大規模なシステムではステートレスな設計の方が一般的に好まれる傾向にあります。これは、ステートレスなアーキテクチャの方がリソースを効率的に利用し、サーバーの負担を減らし、スケーラビリティを向上させるからです。